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zoom RSS 伊東豊雄の「中野本町の家」と釜石復興

<<   作成日時 : 2012/01/24 15:16   >>

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清家清展と吉村順三建築展と前川國男建築展」に関連して。


 まぁ住居建築見物、というのが趣味の1つでもあるわけですが。

 たまたま図書館の蔵書検索で住居系を引いてみたら、伊東豊雄の「中野本町の家」というのをみつけて読みました。

 要は、夫を病死させたばかりの姉一家が住み替えるに当たって伊東豊雄に家を建てさせたら、その時の施主の精神状態そのものが具現化した住宅になったために、人生を歩むにつれてその家に精神的に住んでいられなくなり、精神的に脱出するためもあって20年経ったら取り壊すまでに至った。というところで直前にインタビューをしたものの書き起こしたのが、この本。
 前半は姉一家3人によるインタビュー、後半(栞と称している)が伊東豊雄の文章と図面で構成されています。

 設計した伊東豊雄はまさか姉一家が築20年で土地も建物を売るとは思わず、さらに売ると決まった途端に取り壊すなんて想像もしてなかったらしく、「廃屋の美」みたいなものを見れると思っていたら半月経つかたたないかで取り壊される羽目になったと嘆いてます。

 ていうか、自分がどういう家を作ったか自覚が無かったんですかね。作りながら地下ダンジョン構造ぽさとか、部分々々の出来上がりやらには夢中になっていたと告白してますけど。まぁ作った家に住む訳じゃないから、施主一家が住んでて鬱々とした気分になるなんて思っても無かったんでしょうが。
 
 インタビューは一家三人に対して、1997/2/19、1997/2/21に行われ、その月末2/28に家は取り壊し。1984年に実家の跡に建てた(とおもわれる)自邸「シルバーハット」はそのあと今治の自分の美術館に移設したらしいが、「中野本町の家」とコンセプトはまるきり違う。「中野本町の家」は住み手のひとりに「まるで墓石(墓碑銘)」とまでインタビューで言われているが、「シルバーハット」は本人いわく「土地に縛られず軽く舞い上がってしまいそうな小屋」というコンセプトだそうです。

 ただ、伊東の事務所サイトにある作品群の写真の中で、「中野本町の家」は単独写真だけど、「シルバーハットの家」は隣接する「中野本町の家」と一緒に航空写真で写っている。これをみると、二軒で1つの建物として見た時に、バランスがいいのも事実。スカスカのトラスの家に隣接した、コンクリートづくりの蔦の這った家。むろん、これが窓が禄にない、鞘だか繭だかチューブだかわからんような家だとは、外見では判らない訳ですが。この組み合わせは、本人の告白によると姉の家を建てた反省を引きずった結果だとか("Appendix" p.42)。

 しかし、この本を読んでる間に、伊東が釜石の再建プロジェクトに入ったのをNHKで見ました。
 で、ネットで噂になっている「合掌造り」をみたわけですよ。
 建築家は己の思想を作品にこめるべきだ、と伊東はこの本の中でも述べています。施主からの要望を消化しながら、己の哲学や思想を反映すべきだと。そこにギャップが生まれるのならそれは「住宅を象徴する要素」としてのギャップなわけです。そこをどう埋めたいのか。建築家が妥協して歩み寄るものなのか。ギャップを消化して双方満足するようにすべきなのか。それとも施主に妥協させるのか。

 現実としては、容器にたいする明確な哲学/思想を施主が持たない限り、建築家が優位に立ちそうな気配です。
 そして、おそらく釜石の「合掌造り」も、公共施設であることから、役所は明確な思想は持たないでしょう。役所な彼らにとって「安住の容器」じゃなく、あくまでも「人生の半分のそのまた半分の勤務時間を過す仕事場」でしかないからです。

 こうなったときに、釜石の住人の意向をどこまですくい上げて都市計画に反映できるのか。非常に興味深いところです。


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