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zoom RSS 日本の「世界遺産」登録ブームはなにを基本に考えているか?

<<   作成日時 : 2010/12/03 23:48   >>

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 実は平泉に一昨年出かけました。そう、厳美渓行ったというあのときの旅行なんです。
 阪急のトラピックスだったので、毎度の事ながら忙しい行程で、リアルタイム投稿も難しかったんですが、その旅行中に平泉行って、驚きました。

 ........まぢでこの町を世界遺産にするつもりだったのか?(爆)

 .......だって、農地や竹やぶは荒れ放題だし、住宅地は無秩序に建ってるし、町が雑然としてるやん(爆)。

 というか、平泉を見て気がつきました。
 日本人が「世界遺産登録」をする時は、ふつう点でしか対象物を考えてません。つまり、藤原四代の遺構だけ。毛越寺と中尊寺と柳之御所遺跡(藤原氏の政庁跡)と.......あといくつか細かい地点。少なくとも「ある1つの地区丸ごとを保存掛ける」という意識ではありません。地図を示しますが、航空写真みると「現代式の屋根のある住居」が、平泉駅から毛越寺や観自在王院跡の間に展開されているのがわかります。平泉郷土館は無量光院の跡で、それのある山は金鷄山です。ここと観自在王院跡のあいだには、日帰り温泉だか共同温泉だかがあるのもわかります。東北本線と平泉バイパスの間に高舘義経堂のまわりも同じく。



 しかし、特に欧州で見たとき、彼らは面で考えるんですな。市街地丸ごととか。そして都市計画がきっちりとされている市街地の建築様式も見事に統一感があります。あの感性で見たら、平泉の町はあまりにも無惨。
 世界遺産の選定基準はウィキペディアによると何項目かあり、
世界遺産(とくに都市や建造物)に適用される基準らしいのが

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
(5) 特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている、ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落または土地利用の際立った例。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と、直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。

そして、自然遺産に適用される基準らしいのが

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには、生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

 という具合らしいんですな。

 ためしに欧州の世界遺産で平泉と登録物的に比較出来そうなものを探しましたが、ドイツの「アーヘン大聖堂」とか「マウルブロン修道院」とかですかね。スペインの「メリダ遺跡群」なんてのもいいかもしれませんが、あれは現物が厳然と残ってるんですな。鞘堂に入った中尊寺金色堂くらいしか現物がないと難しすぎます。アーヘンは1、2、4、6をクリアし、マウルブロンは2と4,メリダは3と4。「遺跡」ということなら英国のストーンヘンジも1、2、3。しかも面で保護のための規制が厳しい。観光地として開発しようとかいう感じじゃありません。
 さて、平泉の申請では何番と何番を該当するものとしたんでしょうか?

 平泉は、農村が徐々に開発されてツーバイフォーみたいな住宅が無秩序に並んでいます。しかも中尊寺と毛越寺で観光地商売しようというのがありありです。欧州人の感性だと「世界遺産は保護すべきもの」であって「それをタネに地元自治体が観光地化して観光客を呼ぶ」なんてのは邪道でしかなさそうです。第一、指定されたらその地区の開発もなにも出来なくなりますからね。脇の田圃や畑潰して住宅建てるなんて出来ないはずです。
 だから今のうちにバイパス通しますとか、実はさっさと新幹線通しちゃいましたとかいうのかもしれませんが、それじゃ余計に委員会に嫌われるでしょう。
 そもそも都市計画を去年の春に見直したようですが、この市街地規制って現在建っている家にも強制的に適用するわけじゃないですよね。そんな事したら、町で補助金出さない限り不可能でしょう。というか、財政破綻するの明白です。

 まぁそれでも気がついただけでもマシだとはおもいますが、もう国内の文化財指定で保護することだけ考えて、世界遺産なんて考えない方がいいかもしれませんねえ。

 島根の石見銀山跡が世界遺産になったのは、あそこの坑道だけではなく、あの銀山から出た銀が世界経済にかなりの影響をおよぼしていた事と、昭和18年まで現役だったこと、実際に現物がちゃんと残っていた事が大きいでしょう。むろん「開発工法が自然に優しい」という、どちらかというと見当違いな理由が委員会でウケたという、摩訶不思議な話もありますが。あそこは幸か不幸か、坑道の里も含めるという「地点じゃなく面」という部分も遺産申請したようなので、まだ理解されやすかったのかもしれません。ちなみに項目としては2、3、5だそうです。

 で、他にというと、京都があります。
 平成最初のバブル登り坂の頃に清水寺に見物に出かけました。清水の舞台から久しぶりにみた京都は、絶望するほど汚い町になってました。まぁだから世界遺産に指定されてるのは、どこも市の外れ、山の中です。
 京都となれば奈良がありますが、奈良は斑鳩の法隆寺地域が文化遺産に指定されたのは1993年です。そのまえからばっちり保護されてたエリアなのでまだよかったんでしょう。もうちょい後になったら開発されまくりでまずかったかも。
 そういう意味で平泉はもっと条件が悪い。だって奈良も京都も原則、寺社領地なんですよね。だけど平泉はそういう私有地じゃありませんから。

 最近は鎌倉も世界遺産申請したがってるようですが、鎌倉なんて「トレンドを突っ走る」「若者の夏のメッカな湘南渋滞」の町で「文化人の町」かもしれませんが「文化的に意義のある街並」なんて若宮大路のどこにも残ってません。
 まぁ、富士山もゴミだらけ故に「なんでこんなゴミだらけの山を世界遺産に申請するんだ?」と却下されるのが日本の文化水準なので、なんとしても世界遺産にしたいというのなら、どこの街並でも少なくとも昭和20年のレベルにまで戻さないとダメでしょう。そして高さ制限も色彩制限もかけないと無理です。

 そもそも荒野や野っ原を開拓してきたアメリカ人ならいざ知らず、欧州人は「爆撃で破壊され尽くしたドレスデンの町を、石の一つまで再現して維持する」というプロジェクトからもわかるように、維持保存となったら頑固です。東京に進駐軍が来た時も、アメリカ軍が接収した華族のお屋敷はペンキ塗りまくられだったけど、欧州各国の将校が使用した洋館はそのまま丁寧に使ってあるんですよね。どことは言いませんが、目白台の旧細川侯爵邸とか。

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