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zoom RSS 「岡崎市立中央図書館事件......これで逮捕もまずいけど、「図書館の自由」はどうなってる?」...

<<   作成日時 : 2010/09/14 00:03   >>

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岡崎市立中央図書館事件......これで逮捕もまずいけど、「図書館の自由」はどうなってる?」について

 コメント欄で「・・・論点ずれてませんか?」さんから長文のコメントを頂戴しました。
 で、他の方からこの方へのコメントもついてるんですが、「お返事書きます」と約束しましたのでお返事なぞ(笑)。
 まず、いただいたコメント全文です。

 あの・・・そもそもの図書館の役割って、一体何でしょう?
 図書や蔵書の貸出や管理ですよね?
情報提供するシステムが導入されたのはあくまでも老若男女を問わない一般の利用者が図書館にいちいち出向かずとも現在の図書館の在庫を調べたり、図書館で新しく購入して欲しい本が既にあるものなのかを調べる、といった極々シンプルなことの手助けのためでは?

 そして、それこそ幼稚園児向けの絵本から大学生が調べものに使う専門書まで、図書館にある膨大な数の本を貸す側である図書館は、管理しやすくする為、そして借りる側である日々の利用者が少しでも便利に図書館を利用できるようにする為のシステムであって、今回事件の発端になった一個人の自作検索システムからの過剰アクセスに対応し危機回避をする為のシステムではないのではありませんか?

 なぜまったく関係のない人たちや実際の利用者でもない、何の被害も被ってない人たちがここまでシステム会社を批判したり、勝手に訴訟問題にまで発展させてしまうのでしょう?
 逮捕された方がご自分の落ち度を逆説的に認められたからといって「アレくらいのことで。」と周りが勝手に判断するのはいかがなものかと。

 実際、システム会社も図書館側も今回の事件の対応にもシステムの回復や改善に相当な労力を要したでしょうし、個人の尊厳云々を問うならば、逆に図書館職員やシステム会社の社員の方達被った損害はなぜ問われないのでしょう?

 そもそも図書館システムの目的と今回事件を起こした方の目的が根本的に違っていると感じます。
 それなのに、たまたま起きた問題で問題を起こした事への責めをシステムの問題へとすりかえるのはおかしいと、私は思います。
 専門知識もないまま書かせて頂きましたので、用法や表現におかしな所があるかもしれません、ご容赦下さい。


 1)「あの・・・そもそもの図書館の役割って、一体何でしょう? 図書や蔵書の貸出や管理ですよね?」

 いいえ、それは最終的なサービス提供の1つですが、本来の役割とは「図書館法第2条」に規定されています。
この法律において「図書館」とは、図書、記録、その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設で.......

 つまり知的サービスの充足を国民に与えるのが図書館の役割です。ですから、単に本や視聴覚資料を貸し出すだけじゃなく、視覚障害者には「読みたい本や雑誌や新聞」を朗読したりするサービスもあります。小さい子供むけに「読み聞かせ」のサービスもあります。「こういう本を読みたい」「こんな内容の本はありませんか」「こんなことについて調べたい」という質問にも調べて回答する、レファレンスサービスというのもあります。必要なら国立国会図書館に頼んで借り出したりとか、専門図書館に紹介状を書いたりもします。大きなシェアを占めている健常者の受けているサービスが「所蔵本の貸出サービス」なだけです。

 2)情報提供するシステムが導入されたのはあくまでも老若男女を問わない一般の利用者が図書館にいちいち出向かずとも現在の図書館の在庫を調べたり、図書館で新しく購入して欲しい本が既にあるものなのかを調べる、といった極々シンプルなことの手助けのためでは?」

 本来は、膨大になった蔵書の目録管理のための電算システムから出発したはずですが、まぁ現在のインターネットサービスに乗った結果、概ねそのようなことで正しいと思います。
 で、図書館に新しく入った本で読みたいものがあるかどうかを調べるのに、自動巡回システムを作って使ったのがこの件です。

 3)「今回事件の発端になった一個人の自作検索システムからの過剰アクセスに対応し危機回避をする為のシステムではないのではありませんか?」

 えーと、まずなにを以て「過剰アクセス」とするか、ですね、問題は。容疑が「大量アクセス」ですから。そして危機回避するためのシステムじゃなく、いつでもちゃんと動くことを旨として公開している公共サービスなら、どんなことがあっても止まらないようにしなくちゃいけません。それがセキュリティの堅牢さでもありますしシステムの堅牢さでもあります。もちろん岡崎の図書館のシステムは危機回避のためのシステムではありません。

 専門家が調べたところ、このシステムは肝心なところで堅牢さが欠けていたのです。

 で、「過剰アクセス」ですが、逮捕された男性はまずプログラム的には1秒ずつ間をおいてアクセスするように設定していたそうです。そして、1秒に1ページを読むリズムで2千ページの書誌情報を貰ってくるように、そして一度に沢山のページを読むのではなく、1ページずつ順番に読むように設定したそうです。1秒に1ページを読むのは過剰アクセスでしょうか? いま、新着図書の詳細ページを開いて読み込むのに何秒かかりますか? なんだったらリロードしてみてください。たぶん1秒で読み込むはずです。図書館のサーバーにアクセスして読み込んで、さらにこちらのパソコンの画面に表示するのまでで1秒なら、パソコンの画面に出す作業を飛ばしてデータを取得するのはもっと短い時間で済みますよね。


 4)「なぜまったく関係のない人たちや実際の利用者でもない、何の被害も被ってない人たちがここまでシステム会社を批判したり、勝手に訴訟問題にまで発展させてしまうのでしょう? 逮捕された方がご自分の落ち度を逆説的に認められたからといって「アレくらいのことで。」と周りが勝手に判断するのはいかがなものかと。」

 あなたは全く関係のない事件について、加害者や被害者をまったく批判したことはないですか? ワイドショーや週刊誌で取り上げられたスキャンダルについて意見を述べたことはありませんか? 

 例え話を出しましょうか。
 あなたがショッピングセンターに買い物に行って、うっかりよそのお子さんをカートで小突いたとします。子供は転んで膝を擦りむきました。その親は市役所の人で「あの人、うちの子をわざと怪我させようとした」と、あなたにまず直接文句を言わないであなたを傷害罪で警察に告訴しました。しかも市役所の人ですから、あなたの個人情報を持っています。告訴状を出す時に、あなたの住所も電話番号も職業上の権限を勝手に使って調べて全部警察に渡しました。
 告訴状は受理され、あなたは傷害罪で逮捕されました。20日警察署に拘留され、毎日警察官に「あんた、わざと子供にカートぶつけたんだろう? なんでそんなことしたの?」と訊かれます。最後に根負けしたあなたは「すいません、出来心だったんです、もうしません」と言ってしまいます。検察庁は「まぁ初犯だし、反省してるから起訴猶予処分にしてあげるよ」と言って釈放してくれました。これであなたも立派な「前歴者」です。
 さてあなたはこのことに納得しますか? これで先方の親や子供や現場のスーパーの社員(この場合はMDISですが)が被害を被ったのを気の毒だと思いますか?


 なぜここまでMDISを批判するかというと、まずMDISが売り込んでいる図書館システムはあちこちの自治体に納品されています。つまりこの前例が出来てしまったがために、いつ何時、同じようにクローラーシステムを動かしている一般人や法人が同じような理由で逮捕されるか判らないからです。むろん、MDIS製のプログラムに限りません。他のメーカー製で同じようなミスを犯しているプログラムがあれば、止まる可能性があります。たとえば今回の逮捕容疑と同じ作業を、国立国会図書館や民間企業のカーリルが行っているわけですが、だとしたら岡崎のサイトを止めてしまったら、前例から国立国会図書館も大量アクセスで逮捕されることになります。特に国立国会図書館は法律に則ってやることになっています。変じゃありませんか?

 #これは(独法)産業総合研究所の主任研究員の高木浩光氏の日記の9/5分にまさしく書かれています。
不安という点では、実際、今回の事件が他の警察にも影響を及ぼしている様子もある。警視庁ならこんな逮捕はしないだろうと思い、7月21日に警視庁のハイテク犯罪対策総合センターの電話相談窓口に、「クローラを開発しているのですが、業務妨害罪に問われることはあるのでしょうか」という問い合わせをしたところ、「普通のクローラならそういうことはない」という回答が返ってくるかと思いきや、そうではなく、愛知県警での事案を想定しながらそういうことはあり得るという回答が来てしまった。つまり、岡崎図書館の事件は前例となりつつあったわけで、これが最も懸念されることであった。(この時点では朝日新聞報道前であり、その後どういう認識になっているか、再度確認する必要がある。)


 逆に、どう見ても不良品と思われるものを作ったメーカーを、それが原因で逮捕された人まで出たのに批判しちゃいかん、ということにどうしてなるんでしょうか? 三菱といえば、「三菱ふそうリコール隠し」の事件は知ってますか? あれはメーカーが製造上の欠陥を知りながら隠し続け、運転中に事故が起きて多数の死傷者が出た事件です。
 今回のMDISの事例は、三菱電機インフォメーションシステムズ=三菱ふそう、逮捕された人物=トラック運転手、ホームページが停止したために利用を疎外された他の利用者=事故に巻き込まれた被害者(対物被害者含む)、という関係に置いてみるとわかりやすいかと思います。岡崎市立図書館はディーラー店や整備工場のような立場でしょうか。

 たまたまコンピュータソフトウェアは製造物賠償責任についての法律、いわゆる「PL法」の規定から外れるそうです。こんなことを引き起こすんじゃあ、PL法の適用も必要じゃないかと思いますが。
 第一、まだ訴訟とかやってませんよ。名誉回復の裁判は必要じゃないかとか言われてますが。


 5) 実際、システム会社も図書館側も今回の事件の対応にもシステムの回復や改善に相当な労力を要したでしょうし、個人の尊厳云々を問うならば、逆に図書館職員やシステム会社の社員の方達被った損害はなぜ問われないのでしょう?

 いいえ。
 システムの回復は、サーバをリスタートするだけです。クレームが来たからサーバをリスタートさせたようですが、本来なら10分待てば勝手に回復したそうです。
 そもそも、図書館職員もMDISの社員もこの件で「逮捕された前歴」が残ることはありません。しかし彼は「前歴あり」になりました。これから履歴書を書く時に「岡崎市立図書館事件で起訴猶予処分」と書かないと「正直に履歴を書いていない」という評価を受けることになります。

 しかも岡崎は、本来なら相談すべき窓口を知りませんでした。「一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター」という、コンピュータネットワークのセキュリティを専門に扱う組織があるそうです。レファレンスを職務の中に入れている市立図書館の基幹・中枢部署は無知だったのです。もし図書館に「大量アクセスについてどう対処したらいいんでしょうか? そういう情報はどうやって探したらいいんでしょうか?」というレファレンスが来たら、彼らは「判りません」と返答したのでしょうか? しかもどうやら市役所内部のIT担当部署にも相談をしていませんでした。実にお役所の縦割り主義です。

 ためしにGoogleで「ホームページ+ハッキング+対応策」と検索してみてください。一番上に総務省の「国民のための情報セキュリティサイト」というページがあります。ここもそんなに情報の整理がいいとは言えませんが、そこにちゃんとJPCERTが掲載されています。そういう公共サービスを、彼ら自身が使うことすら知らなかったというのは、怠慢ではないでしょうか?

 
 6)「そもそも図書館システムの目的と今回事件を起こした方の目的が根本的に違っていると感じます。それなのに、たまたま起きた問題で問題を起こした事への責めをシステムの問題へとすりかえるのはおかしいと、私は思います。」

 図書館のシステムは、インターネットに出している書誌情報を検索し、目的とする本を見つけて予約する、という一連の作業を当然受け入れます。librahack氏はそのうちの「書誌情報を検索する」作業だけを行っただけです。上でも書きましたが、納品されたシステムは堅牢さに欠けていました。日経コンピュータ8/4号の「動かないコンピュータ」の記事によると、この事件の以前からサーバは毎朝再起動しなければなりませんでした。
 しかも、どうやらMDISは今回のような、利用者が沢山やってきてあちこちサイトを覗くとサーバが止まることを知っていた可能性が高いのです。
 報道やまとめサイトに載っている通り、他の自治体に納品した同じバージョンの製品が止まって改修していたという情報があります。売り込む商品に瑕疵があるのを発見したら、普通はそれは全社的に共有しますよね? たとえば松下が自社のファンヒーターが発火するのを大阪支店と札幌支店で知っていて、名古屋支店で知らないなんて考えられますか? もし知らなかったとしたら、それって物凄くいい加減な会社だってことになりませんか?

 となると、岡崎は無知と怠慢ゆえに責められるべきですし、MDISはこれまた自社製品の保守とプログラム瑕疵について岡崎に知らせずにいた怠慢が責められるべきなんです。librahack氏はたまたまその部分を突いてしまうプログラムを組んで、たまたまサーバを停めてしまったわけです。果たして彼は逮捕までされて責められるべきでしょうか?

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